小児看護の基本

小児科看護師が教える子どものフィジカルアセスメント

看護師
看護師
小児のフィジカルアセスメントが苦手な方へ。
小児科看護師がアセスメントのコツを紹介します。

フィジカルアセスメントとは

フィジカルアセスメントとは「フィジカル(身体的な)」+「アセスメント(情報・評価)」、つまり身体的状況を把握し問題点を明らかにすることです。

また現場では、問題点を明らかにするだけではなく、必要なケアの判断や他の医療従事者と共有することも必要です。

子どもの特徴から考えるアセスメントの難しさ

「子どものフィジカルアセスメントはどうも苦手…」と思う方も少なくないでしょう。

アセスメントの難しさは子どもならではの特徴が関係しています。

問題の本質をとらえにくい

子どもは自分の症状を正確に伝える能力が未熟です。また、症状を全身で表現するため、どこに問題点があるのかを把握することが難しいです。

変化の速度が速い

子どもは生理的な予備能力や代償機能が未熟のため、症状の変化の速度が速い傾向にあります。

・37℃台だったのに急に39℃を超えた
・咳嗽だけだったのに陥没呼吸がみられるようになった
・元気そうだったのに急にぐったりしはじめた

現時点の症状だけでなく、急な変化を見越したアセスメントが大切です。

年齢や発達レベルによって正常範囲が異なる

例えば、大人にとって正常な呼吸回数は12〜16回/分ですが、新生児や乳児の正常な呼吸回数は30〜60回/分です。幼児、学童期になると徐々に呼吸回数は減り、思春期には大人とほぼ同等になります。

年齢別の正常範囲を把握していくことが大切です。

子どものフィジカルアセスメントの順番とテクニック

大人と同様に、フィジカルアセスメントは侵襲の少ないものから行うのが原則です。

問診→視診→触診→聴診

視診や触診、聴診は対「子ども」で行いますが、問診は対「大人」になりがちです。「大人」からの情報も大切ですが「子ども」が伝えている情報にもしっかり耳を傾けるようにしましょう。

また、子どもは人見知りでスムーズに情報収集できないことは少なくありません。以下のテクニックはわたしが小児科看護師として勤務するなかで、子どもとの距離を縮めるために使っていたものです。

声色をワントーン明るくする

声を子どもと似せる(=明るく高くする)ことで、子どもに安心感が生まれます。普段勤務中は落ち着いた声を意識している方でも、ワントーン明るくするということを心がけてみましょう。

子どもの好きなものの話をする

病院という恐怖心を感じやすい場所でも、子どもにとって好きなものがあればその恐怖心を少し和らげることができます。その子の好きなものは、着ている洋服や持ち物からヒントを得たり、パパやママから話を聞いてみたりして探していきましょう。

ぬいぐるみや動画を使う

どんな声掛けをしてもダメ!そんなときは視覚で安心できるように、ぬいぐるみや動画をみせるのもテクニックのひとつです。

子どもが落ち着いたら、ぬいぐるみを使って「痛いところはどこかな?」と聞いたり、動画で泣いているシーンがあったら「〇〇ちゃんは(今は)泣いてないね。泣いてたのはなんでかな?」と聞いたりしてアセスメントにつなげることもできます。

覚えておきたいPALS

子どものフィジカルアセスメントにおいて重要なのは「第一印象(外観)」です。

外観は換気や酸素化、循環状態を反映しています。以下のPALSは重症度の評価に必要な項目です。

【PALS】

PLAY…遊んでいるか?周囲に興味を示すか?
ACTIVITY…手足の動きは?ぐったりしていないか?
LOOK…目線は合う?視線を向けている?
SPEACH/SMILE…声は変じゃない?あやすと笑う?

ぜひ活用してみてください。

最後に

子どものフィジカルアセスメントは難しいですが、子どもの特徴を理解したり不安を和らげるテクニックを使ったりすることで、正しいS(主観的情報)やO(客観的情報)を得ることができます。

苦手意識をもちすぎず、子どもの声に耳を傾けてみてくださいね。